この記事は
- すでに多読多聴をしている
- これから多読多聴をしようとしている
- 英語を習得したい
以上の人におすすめです。
実は、英語上級者を除くほとんどの人にとって多読多聴は逆効果です。
なぜなら上級者以外には以下のデメリットが発生するからです。
- 視覚情報が得られない
- 間違った癖が定着してしまう
具体的には以下の六点です。
- 間違った発音が身につく
- 間違った抑揚やリズムが身につく
- コミュニケーションの感覚がつかめない
- 文化の理解ができない
- 話し言葉が身につかない
- リアルタイムの会話・音声に慣れない
- 人によってはつまらない
私自身実際に、多読多聴で不自然な英語を身につけてしまった人をたくさん見てきました。
では自然な英語を身につけるには、多読多聴の代わりに何をすれば良いのでしょうか?
答えは「多視聴多聴」です。
この記事では「多読多聴」をしてはいけない理由や、「多視聴多読」のやり方を解説します。
多読多聴とは
多読多聴(たどくたちょう)は、辞書を使って和訳したりせずに簡単な本を大量に読んだり(多読)、同じく簡単な英語音声を大量にリスニング(多聴)することで英語力を上げるという方法です。
です。
多読多聴は効果ある?
結論として、英語上級者やすでに英語ペラペラな人には効果があります。しかし、必須ではありません。
しかし、ほとんどの日本人は上級者のレベルに達していないため「多読多聴」をするべきではありません。
英語上級者に達していない人、言い換えれば初心者・中級者が多読多聴をすれば、基本的には後述の通り逆効果です。理由は下記で解説します。
ちなみに当サイトの初心者~上級者の定義として
- 初心者・・・初心者向けのコンテンツの理解度が8割未満
- 中級者・・・初心者向けのコンテンツを8割以上理解できるが、中級者向けのコンテンツの理解度が8割未満
- 上級者・・・中級者向けのコンテンツの理解度が8割以上
それぞれのコンテンツの定義として
- 初心者向けのコンテンツ・・・ネイティヴの幼児以上が理解できる内容
- 中級者向けのコンテンツ・・・ネイティヴの小学生以上が理解できる内容
- 上級者向けのコンテンツ・・・ネイティヴの中学生以上が理解できる内容、もしくは複数のアクセントが多く含まれるもの(例:アメリカ英語とイギリス英語を話すキャラクター達の出番が多い)
以上のように定義しています。
理解度とは、
英語を聞いたときに、日本語に訳したり、一時停止せずにそのまま理解できる割合を意味します。
自分の英語レベルが知りたい方は以下の記事をご覧ください。
初心者だと思う方はこちら「脱初心者!英語初心者のレベルチェックとやるべき学習【英会話禁止】」をご覧ください。
中級者はだと思う方はこちら「英語中級者のレベルチェックと教材・勉強法【結論:勉強するな】」をご覧ください。
上級者だと思う方はこちら「【伸び悩み】英語上級者の勉強法と学習アプリ6選【単語で解決】」をご覧ください。
多読多聴がおすすめな人
多読多聴をおすすめできる人は具体的には以下です。
- 英語上級者以上(英語の発音を正しく認識できている人、すくなくともネイティブの会話を問題なく聞き取れるレベル)
- 初心者、中級者だが、リスニングやスピーキングをできるようにならなくて良い人
- 資格試験や受験勉強、テストの点数を上げるのが目的の人
多読多聴は基本的におすすめじゃない
英語初心者・中級者に多読多聴がおすすめできない理由は大まかに以下の二つです。
- 視覚情報が得られない
- 間違った癖の定着
それぞれ解説します。
視覚情報が得られない
人間は音声からの情報はもちろん、表情やジェスチャー等の視覚情報から多くの情報を得ています。
多読多聴の場合視覚情報の経験値が溜まりません。「多読」にフォーカスしてしまった場合、音声・視覚情報両方の経験値が溜まらないことになってしまいます。非常にまずいです。
間違った癖の定着
多読は半分アウトプットです。
当サイトでは音声なしのリーディングを半分インプット半分アウトプットと捉えています。なぜなら、リーディングをするときは自分の頭の中でその文章を読み上げるからです。
そして初心者はアウトプットを一切するべきではなく、中級者も大量にするべきではないとしています。なぜなら英語を正しく認識していない状態でアウトプットをしてしまうと間違った癖がついてしまうからです。
赤ちゃんを想像してください。
赤ちゃんが言葉を覚えるときに本を読みまくって言語を習得しますか?
答えはノーです。赤ちゃんは親や周りの音声を大量に聞いて言語を身につけていくのです。我流で文字を読んでいくのではなく、周りのネイティブによる「正解の音声」を聞き続けることで、ネイティブになるわけです。
そのため初心者・中級者には絶対に多読多聴をおすすめしません。多読多聴の「多読」の部分に大いに問題があります。
初心者・中級者の場合、英語を正しく認識できていないので、間違った認識を通して英語の文章を読んでいます。
その状態で多読をすると、大量に自分の間違った認識を通した間違った英語をインプットしてしまいます。その結果本物の英語ではなく、自分の勝手な解釈の間違った英語を身につけてしまいます。
ちなみに日本人の場合、英検一級やTOIEC900点台の方でも英語を正しく発音できていない場合がほとんどです。一般人から見て達人級の人たちですら認識を間違えているのに、初心者・中級者の更に間違った認識が定着してしまうのを考えるとゾッとしますよね。
多読多聴をしてはいけない具体的な理由7選
初心者・中級者の内に多読多聴をしてしまうと、具体的には以下のデメリットがあります。
それぞれ詳しく解説します。
- 間違った発音が身につく
- 間違った抑揚やリズムが身につく
- コミュニケーションの感覚がつかめない
- 文化の理解ができない
- 話し言葉が身につかない
- リアルタイムの会話・音声に慣れない
- 人によってはつまらない
それぞれ詳しく解説します。
間違った発音が身につく
自分の中で正しい英語の発音が認識できていない状態で多読をしてしまうと、自己流の間違った発音で脳内再生してしまいます。
結果、間違った発音が身についてしまいます。
たいていの場合、カタカナ発音やinturusive R(余計にRを発音してしまう現象)が身についてしまいます。
英語の発音は非常に難しいです。ほとんどの日本人は一生正しく発音できないレベルです。初心者・中級者はなおさら発音が出来ていない状態なので、リーディングをしないようにしましょう。
間違った抑揚やリズムが身につく
こちらも発音と同じです。英語の抑揚やリズムが身についていない状態で多読をしてしまうと、自己流の間違った抑揚・リズムで脳内再生してしまいます。そして間違った抑揚・リズムが身についてしまいます。
コミュニケーションの感覚がつかめない
文字媒体にはコミュニケーションの雰囲気が記載されていません。コミュニケーション特有の雰囲気や感覚、ネイティブの仕草や表情等が全く身に付きません。
文化の理解ができない
言語は文化や歴史に密接に結びついています。多読をメインにしてしまうと、その言語の文化的背景の理解が不十分になってしまいます。
話し言葉が身につかない
英語文章と実際の会話では大きな違いがあります。日本語の文章と会話でも大きく違うので実感が沸くと思います。極端な例だと夏目漱石の『坊ちゃん』のように会話をする日本人はいないはずです。
それに、ネイティブで小説家のようなしっかりした文章が書けない人はいても、話し言葉を話せない人はいません。
話し言葉すら分からない段階で、多読や文法を勉強して文章を読み解こうとするのは言語習得の流れとして不自然です。
英語の書き言葉と話し言葉の違いを7点抜粋しました。
- 表現形式
- 文法
- 単語
- 速度
- リズム
- 文章の長さ
- 文脈
詳しく解説します。
表現形式
文章と会話では使われる表現が違います。文章ではカッチリしていたり、詩的な表現です。対して会話は砕けた表現です。
文法
文章では文法が守られがちですが、会話では文法を無視することは日常茶飯事です。
単語
文章と会話では使われる単語も違います。文章はフォーマルな単語が多く、会話はカジュアルな単語が多いです。
速度
文章は一定の速度(読み手に依存)で進んでゆきますが、会話では話し手や会話の内容、盛り上がり等によって変化します。
リズム
リズムに関しても文章なら一定ですが、会話では人によって、状況によって変化します。
文章の長さ
文章では一文の長さが比較的長いのに対し、会話では短い傾向にあります。
文脈
文章では文脈がはっきりしているのに対し、会話では相手との関係性や直前の会話、状況に応じてその場で通じるレベルまで文脈が曖昧になります。
リアルタイムの会話・音声に慣れない
文章は自分のペースで読み進められますが、会話では話し手のペースで進みます。初心者・中級者の段階で多読をしてしまうと、相手のペースに合わせて聞き取り、意味を理解することに慣れません。
人によってはつまらない
番外編的なデメリットです。
人によっては文章をひたすら読むことがつまらないのではないでしょうか。実際に昨今、本や新聞の売り上げが激減していることからも、活字離れがうかがえます。
ましてやあまり理解できない外国語の文章を楽しく多読できる人は少ないと思います。
多読多聴が効果ないって本当!?Q&A形式で解答
まずここまで読んでいただきありがとうございます。折り返し地点ですので最後までお付き合いください。
ここまで多読多聴のデメリットを読んでも納得いかない方も多いと思いますので、Q&A形式で疑問にお答えします。
本当に多読多聴に効果はないの?
一部の方には効果があります。
上記で解説しましたが
- 英語上級者以上の方
- リスニング、スピーキングができなくても良い
- 資格試験やテスト、受験勉強の点を上げたい
という方に関しては望んだ効果があります。
既に英語をほぼ習得している人には良い効果がありますし、英語はリーディングで情報収集や読み物を読むだけと割り切っている人には多読多聴は良いと思います。
ただ、基本的に「英語を喋れるようになりたい!」という初心者・中級者が望んだ効果は得られません。
英語ペラペラな〇〇さんは多読多聴をしていましたけど?
上級者になってから多読多聴をしたかも。
その方が多読多聴を導入した段階によって話が変わります。すでに上級者レベルになった段階で多読をしたのかもしれません。
言葉が強いかもしれませんが、正直なところ一般的な日本人から見てペラペラ程度の人は、本当にペラペラなのか分かりません。
多読で身につけた不自然な英語でもTOIECで900点台を取ることや、英検一級、受験勉強等なら十分通用します。また一般人相手にペラペラであるように見せることも可能でしょう。
私自身も多読多聴で英語力が伸びましたよ?
多読多聴で一部の英語力は伸びますが、全体的には逆効果です。
多読多聴で
- リーディング
- 語彙
- テストの点の取り方
以上はもちろん鍛えられていると思います。しかし、初心者・中級者が英語の本質的な部分を多読で鍛えることはできません。
また多読多聴で英語力が伸びたのではなく、同時期にやっていた別の学習で英語力が伸びた可能性があります。
どうしても多読多聴をしたいんだけれど
ネイティブの音声を聴きながら読みましょう
安心してください。多読多聴のデメリットを解消した代替案があります。それは音声付きの電子書籍です。
音声付き電子書籍を活用することで、間違った癖を付けることなく読書を楽しめます。
間違っても日本人の作った教材ではなく、ネイティブの読む本物の本から学びましょう。
また、映像を視聴しながら英語字幕を読むことも効果的です。いずれにせよ、リスニングが必須です。
多読多聴でおすすめのアプリは?
Audibleがおすすめです。
ネイティブの音声を聴きながら読書ができるため、Audibleがおすすめです。
多読多聴がダメだったら何なら効果があるの?
多視聴多聴です。
本記事の続きで詳しく解説します。
多読多聴ではなく多視聴多聴をすべし
ずばり、多読多聴ではなく「多視聴多聴(たしちょうたちょう)」をしましょう。多視聴多聴は私(まいける)が提唱する方法です。
多視聴は自分が4割程度理解できる映像を大量に視聴する方法、多聴は4割程度理解できる音声を大量に聴くことです。注意点としては日本人が作った教材や日本人向けの教材ではなく、あくまでネイティブが作ったコンテンツをインプットすることです。
文法等の勉強は基本的にしません。和訳も厳禁です。英語を英語のまま理解し、本物の英語力を鍛えます。
多視聴多聴は赤ちゃんが言語を習得する流れと同じ自然な方法です。短期的に成長を感じづらいですが、本物の英語力が身に付きます。
*モチベーション維持の方法の詳細記事を準備中です。
多読多聴や多視聴多聴はイマージョンと呼ばれる言語習得方法です。私の提唱するイマージョン・多視聴多聴メソッドの詳しいやり方や詳細はこちらのまとめ記事で解説をしています。
多読多聴と多視聴多聴の比較
多読多聴 | 多視聴多聴 | |
発音 | × | 〇 |
抑揚・リズム | × | 〇 |
コミュニケーション | × | 〇 |
文化 | × | 〇 |
話し言葉 | × | 〇 |
リアルタイムの会話 | × | 〇 |
楽しさ | △ | 〇 |
多読多聴のデメリットは以下の7点だと解説しました。
- 間違った発音が身につく
- 間違った抑揚やリズムが身につく
- コミュニケーションの感覚がつかめない
- 文化の理解ができない
- 話し言葉が身につかない
- リアルタイムの会話・音声に慣れない
- 人によってはつまらない
では多視聴多聴の場合はどうでしょうか?以下の様になります。
- 自然な発音が身につく
- 自然な抑揚やリズムが身につく
- ネイティブのコミュニケーションが身につく
- 文化の理解ができる
- 話し言葉が身につく
- リアルタイムの会話・音声に慣れる
- 楽しい
順に解説していきます。
自然な発音が身につく
ネイティブの正しい発音のみを大量にインプットするので、より自然な発音が身に付きます。
自然な抑揚やリズムが身につく
ネイティブの自然な音声を大量に聴くため、ナチュラルな抑揚やリズムを身につけられます。
ネイティブのコミュニケーションが身につく
多読や多聴と違って多視聴の場合は映像が伴うので、よりネイティブのコミュニケーションに対する理解が深まります。表情やジェスチャー等の視覚情報は大事です。
文化の理解ができる
言語はその国の文化や歴史と密接につながっています。そのため言語を習得したい場合、文化の理解は必須と言えます。
多視聴をすることで、例えばシットコム等のドラマを視聴したり、Youtubeチャンネルを視聴することで文化に対する理解が深まります。
話し言葉が身につく
ネイティブの自然な会話やプレゼンを聞くことで話し言葉を理解できるようになります。
ネイティブで小説家のような文章が書けない方はたくさんいますが、話し言葉を話せない人はいませんよね?文章を読めるようになる前に、話し言葉を理解できるようになることが大事です。
リアルタイムの会話・音声に慣れる
自分のペースで文章を読み進めるのではなく、相手のペースに合わせて音声を聞き取り理解するという能力が身に付きます。
楽しい
アニメやドラマ映画、Youtube、Podcast、Audible等を多視聴多聴することで視覚的にも楽しく英語を学べます。
結論
- 多読多聴ではなく多視聴多聴をやろう
- 多視聴多聴は大量にコンテンツを視聴したり聴いたりすること。
- 多読多聴のデメリットは
①間違った発音が身につく
②間違った抑揚やリズムが身につく
③コミュニケーションの感覚がつかめない
④文化の理解ができない
⑤話し言葉が身につかない
⑥リアルタイムの会話・音声に慣れない
⑦人によってはつまらない - 多視聴多聴のメリットは
①自然な発音が身につく
②自然な抑揚やリズムが身につく
③ネイティブのコミュニケーションが身につく
④文化の理解ができる
⑤話し言葉が身につく
⑥リアルタイムの会話・音声に慣れる
⑦楽しい - 多読をしたかったら必ず音声付きの電子書籍を読む
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます!今後も英語学習に役立つ記事を投稿したり、既存の記事を改良していくので、ブックマークをお願いします。